仏教の香典返しのお礼状の書き方を例文と共にマナーまで詳しく紹介
仏教特有の「香典返し」「香典返しのお礼状」ですが、日本ではキリスト教の葬儀、神道での葬儀、無宗教の葬儀でも香典返しと同じ行為に当たる返礼品が独自に発展しています。元々、仏教のしきたりから始まった返礼品とお礼状ですが、宗教によって考え方や文面は異なります。今回は、主に仏教の香典返しのお礼状について例文と共に詳しく解説し、他の宗教事情やマナーも合わせて解説します。
仏教の香典返しってどんな意味があるの?
香典返しは、お通夜や告別式に参列してくれ、香典を供えてくれた方にお礼をする事を言います。ですが、本来の香典返しは現在のような品物や金品を返礼品として送る習わしではなく、お礼の言葉を贈るのが習わしでした。
返礼品よりもお礼状の方がメインだったのです。「香典返し」と言いますが、香典に対する「お返し」ではなく、参列してお供えをして供養してくれたことに対する「お礼」が本来の意味でした。
ですが現在では、金品を受け取ることに対して儀礼や尊重を加え、「お金を受け取るだけ」では顔が立たないというような思いから本来のお礼状に加え、返礼品を送るようになりました。返礼品は金品をいただいたことに対する意味を持ち、お礼状は参列してくれたことに感謝する意味が込められています。
また、お供え、供養をして頂いたことで無事法要を終えることができたことを、四十九日が済んだ後に報告する意味合いもあります。最近では核家族化が進み、後にいただいた金額にあわせてお礼状や返礼品を送る時間がない人々が増えたことにより、葬儀やお通夜の場で香典返しとお礼状の手渡しが行われるようにもなってきています。
香典返しのお礼状の書き方
香典返しのお礼状にはある程度の定型文が存在します。宅配や郵送で返礼品とお礼状を送る場合は、拝啓から始まり、参列してくれたことへの感謝の言葉、葬儀や法要を無事終えることができたことへの感謝、返礼品を添えて送ることを報告、手紙で終わることへの断り、敬具で締めくくられます。
香典返しのお礼状は、略儀なので発送にてお返しする場合は「直接渡してお礼を申し上げるところ、郵送で済ませてしまう事、申し訳ございません。」との文面が必ず必要になります。返礼品を手渡す際はお礼状は用意する必要なく、返礼品とお礼状を合わせて手渡しで渡す場合は、手紙で終わることへの断りに文章は必要ありません。
返礼品をカタログギフトにて選んでもらう場合は、返礼品を送るもようの文言の後に、「カタログギフトをお送りしますのでお好きなものをお選びください」などといった文章を記載しておくことをおススメします。仏教の場合は四十九日が終わったと、神道の場合は五十日祭が終わった後、キリスト教の場合はミサや式典が終わった後、無宗教の場合は一段落した後に香典返しをするのが一般的です。
それでは、いくつかのお礼状のテンプレートを紹介します。
香典返しのお礼状のテンプレート
香典返しの返礼品に添えるお礼状は、「、」「。」などの句読点は使用せず、代わりにスペースを開けるか改行します。
手渡しで返礼品とお礼状を渡す際のテンプレート
拝啓 _____ 様
この度の葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず ご丁寧なお心遣いを賜りましたことを御礼申し上げます
お陰で無事に法要を済ませることができました
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお納めくださいますようお願い申し上げます
敬具
この程度の簡単な文面でかまいません。香典返しの返礼品を手渡しで渡す際は礼状がなくてもかまいません。
香典返しを発送にて送る場合は、上記の文章にプラス手渡しで顔を合わせることができなくて申し訳ないもようを追加しておく必要があります。
拝啓 _____ 様
この度の葬儀に際しましてはご多用中にもかかわらず ご丁寧なお心遣いを賜りましたことを御礼申し上げます
お陰をもちまして無事に四十九日の法要を済ませることができました
つきましては供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けしますので 何卒お納めくださいますようお願い申し上げます
本来ならばお伺いし御礼申し上げるべきと存じますが書中にて謹んでご挨拶とさせていただきます
敬具
仏教以外の宗教はどうしたらいいの?
日本には仏教以外に神道、キリスト教、無宗教などの信者がいます。仏教では、死者には来世があり次の来世で幸せに暮らせるように供養し、49人目に結果が決まるとされており、四十九日の最後の供養が済んだらお礼状を送るようになっています。
仏教以外の宗教では、お供え物に対する返礼品を送る風習はありませんが、仏教の影響を受けて返礼品とお礼状を送るようになっています。神道では死者の魂が家の守護神になるのが50日目とされており、五十日祭と呼ばれています。この五十日祭が終わったあとに、仏教の香典返しと同じ意味である偲び草が行われます。キリスト教では返礼品を送る習わしはありませんが、日本のキリスト教では「志」と表書きをした品物に挨拶状を添えてカトリックなら30日、プロテスタントなら1か月のミサが終わってから返礼品とお礼状を送ります。
仏教のお礼状では「永眠」と記載されますが、神道の場合は「帰幽」、キリスト教では「召天」でお礼状を作成します。無宗教の場合は決まった日にちのイベントはありません、葬儀が終わり、ひと段落ついてから返礼品とお礼状を送れば大丈夫です。
仏教以外の宗教には返礼品やお礼状を送る義務や決まりごとはないので、仏教のように返礼品を送らなくても大丈夫です。
金額や贈り物はどうしたらいいの?
仏教の香典返しで贈り物の相場はいただいた香典の半額分相当となっています。3000円なら1500円、5000円なら2500円となります。
この半額分相当には送料等は含まれません。半額分相当の香典返しの品はお茶やコーヒーなどの日持ちがする消耗品が好ましいです。
タオルやインテリアなどのすぐに消耗できない品物だと、「不幸を終えることができない」「不幸が続いてしまう」とされており返礼品には好ましくありません。現在では、好き嫌いが分かれてしまう食べ物の消耗品よりも、自身の都合に合わせて好みの物を購入することができる商品券を香典返しの品に選ぶパターンも多くなっています。
キリスト教や無宗教の場合は、お茶やコーヒーよりもマフィンやクッキーなどの焼き菓子が扱われることがおい傾向にあります。また、カタログギフトで返礼品を好みに合わせて選んでもらうパターンも増えています。
カタログギフトは、自身で品を選んで発送する手間がなく、相手方の好き嫌いや向き不向きを考える必要もないので、香典返しの返礼品で迷った場合はカタログギフトを選ぶと無難です。最近では、ネット通販で購入し、送り先のみ変更して相手方の住所に届くようにする方も増えてきているのですが、ネット通販だとお礼状もなければ掛け紙もなく届いてしまうので無礼にあたります。
まとめ
今回は、香典返しのお礼状について解説しました。オンライン化が進む今、お礼状もインターネットでダウンロードしたテンプレート、返礼品もインターネット通販で購入した商品をそのまま発送、というパターンも増えてきていますが、仏教のしきたり、日本人の心得としてお礼状くらいはきちんとしたものを添えておきたいところです。