香典返しの挨拶状の正しい書き方や注意点を文例と共に詳しく紹介
香典返しとは、お通夜や告別式で香典を手渡してくれた方に対して、四十九日の法要が無事に済んだことを感謝を込めてお礼するしきたりの事をさします。今回紹介する香典返しの挨拶状とは、香典返しの際に渡す手紙の事です。四十九日は進行する宗教や各地域の人が進行する神道によって、意味合いは大きく変わるので、同じ定型文の挨拶状をすべての人に配ってしまったり、何も考えずにインターネットでダウンロードした挨拶状をそのまま配ってしまうと「無礼」とされてしまう事があります。今回は、無礼のない正しい香典返しの挨拶状の書き方を宗派などにあわせて詳しく紹介します。
最も心得ておきたいポイントである「四十九日」の考え方
身近な方が亡くなる日は突然訪れます。 お通夜や葬儀は亡くなったその日や次の日に実施されることが多く、葬儀に訪れてくれた方は線香の代わりに金品を供える「香典」を遺族に対して手渡してくれます。
人が亡くなると「四十九日」という言葉をよく耳にしますが、四十九日が何の日でどういう意味があるのかをしっかりと知っている方は多くありません。 四十九日とは、おもに仏教の考え方で、死後、魂が次の命を歩むうえで経験する世界や生き様、どのような姿かなど、来世での運命や行き先がきまる最も重要な日とされています。
「仏教の考え方である四十九日」と一言に表しても、仏教には浄土真宗や天台宗、日蓮宗などといろいろな宗派があり、日本には13宗、56派もあると言われています。 四十九日は、主な宗派では、亡くなった方が極楽浄土に行けるように供養するしきたりの事を指しますが、浄土真宗などでは亡くなった方への供養ではなく自分自身のために供養するという意味で四十九日が行われます。
都会から離れた田舎では、13宗、56派の仏教と合わせて、「神道」と呼ばれる各地域で内容や教えが異なり、大木や岸壁などの自然をシンボルとして教祖や経典がない民俗宗教も進行している方や、仏教ではなく神道だけを信仰している方も存在します。
このことからも分かるように、日本では様々な考えの進行があり、その進行に合わせた香典返しの挨拶状が必要となります。 仏教、神道ともに四十九日の意味はそれぞれ違い、「亡くなった人のために香典をしてくれて感謝します」という文言の挨拶状でいい人もいれば、浄土真宗などのように自分自身のために供養する人であれば文言は変わってきてしまいます。
ここで、今回は無礼のない宗派や神道に合った香典返しの挨拶状の書き方を詳しく紹介します。
仏教での香典返しの挨拶状
香典返しの挨拶状は、「亡くなった方の代わりにお供えをしてくれた方に挨拶をする」という意味も込められた風習です。 挨拶状の基本的な構成は、香典へのお礼、四十九日の法要が無事済んだことの報告、香典返しの品を送ることの報告、締めくくりの挨拶の順です。
最近では句読点を用いた挨拶状も少なくありありませんが、正しい挨拶状では句読点を使用せずに、代わりに一文字分のスペースを開けて句読点とします。 拝啓・敬具の形で文章を作成し、メモ1枚分程度の長すぎない文章が最適です。
拝啓 先日の(続柄) (名前)の永眠に際しましてはご丁寧なお心遣いを誠にありがとうございました お陰をもちまして四十九日の法事を滞りなく済めせることができました 心ばかりの品ではございますが 供養のしるしにお送りいたしますのでお納めくださいませ 略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます
敬具
まったく面会のない人にも送ることもあるので、差支えのないシンプルな文章が最適ですが、親しい仲であれば別途、日頃の感謝を伝える文章を、四十九日の法要が済んだことを示す文章の後に書き加えておきましょう。 感謝の気持ちや思い出などが数十行に及ぶ場合は、一緒に挨拶状に書いてしまうととても読みづらくなってしまうので、挨拶状はシンプルな文面にし、別の用紙に書き記して同封する方が見栄えも良く読みやすくなります。
神道の香典返し
神道での葬儀では、仏教のように亡くなった方が来世で極楽浄土へ行けるように供養するのではなく、「死」はけがれた物として扱われ、魂や肉体は私たち人間をつくった自然にもう一度帰すという意味を持った場合が多い傾向にあります。 明確な教えや教祖、経典がないために、その地域にある守り神的な意味を持った大木や、岩、山、川などが神道の象徴になり、その象徴に地域によって教えや言い伝えは変わってくるのです。
なので、その考え方は多岐にわたり、埋葬の方法や場所などもその人の考えによって決められます。 仏教では7日ごとに霊祭が行われ、四十九日の極楽浄土に行けるかどうかが決まる日の供養が無事に終了し、いたわってくれた方へのお礼として香典返しの挨拶状を手渡しますが、神道の場合は10日ごとに霊祭が行われ、50日目に仏教の四十九日の法要にあたる五十日祭が行われます。
元々、日本古来の神道には仏教のような明確な香典返しの風習はなく、そもそも香典という風習もありませんでした。 なぜなら、香典は仏壇の前に供えるお香の風習がないからです。
仏壇やお香が関係ない神道には、香典の代わりに御玉串料(おたまぐしりょう)とよばれる供え物があり、「返礼品」という形で「偲び草(しのびぐさ)」と呼ばれる香典返しに当たる行為が行われています。
神道の香典返しの挨拶状の書き方と例文
神道の挨拶状の文章大系は仏教の挨拶状と同じように、「拝啓」から始まり、感謝の言葉と続くのですが、文言がすこし異なります。 まず、仏教では四十九日と明記されますが、神道では五十日祭となります。
この点は、たかが一日の違いですが、意味合いや行事のしきたりは大きく異なるので、神道での挨拶状で四十九日と明記してしまう事は絶対タブーです。 お供えでは、仏教では香典、神道では御玉串料といい方が違いますが、神道をよく知らない方は「香典」と明記して供えてくれる方も少なくありません。
神道での返礼品や挨拶状では「偲び草(しのびぐさ)」が「香典返し」と同じ意味を持つ神道用の文言ですが、神道をあまりよく知らずに「香典」と明記してお供えをしてくれた方に対して「偲び草」と明記して挨拶状を渡してしまうと何のことか分からなくなってしまいます。 「香典」や「霊前」と記載していた方には、仏教の香典返しの挨拶状を四十九日のところを五十日祭りに変更した文章の方が理解してもらえます。
きちんと「御玉串料」と記載してくれいていた方に対しては、下記のような「偲び草」をあしらった文章が適切です。
皆様のおかげさまで本日、五十日祭を相営みました。 つきましては偲草のしるしに心ばかりの品をお送りいたしますので、ご収めくださいますようお願い申し上げます。
神道、仏教での表書きやのし紙の選び方
仏教と神道ではのし紙の絵柄や水引の色の組み合わせは異なります。
仏教での香典返しの品に掛けるのし紙は、蓮の花が質素に描かれたのし紙を用いります。 地域や店舗によって柄や色は異なりますが、派手すぎない単色の柄が最適とされています。 表書きは「志」、「満中陰志」と表記しましょう。 水引は主に黒白結びきりが一般的ですが、関西から西日本では黄色の水引を用いる地域もあります。
神道での返礼品では、仏教で採用されている蓮の花が描かれたのし紙の仕様は不向きです。 真っ白の何も描かれていないのし紙が最適とされています。 表書きは仏教でも使われる「志」、神道独自の「偲び草(しのびぐさ)」と表記しましょう。 仏教で用いられている志以外の表書きは不向きです。 水引は両方が白の双白か、両方が銀色の双銀、または白銀の水引を用いるのが一般的です。
まとめ
仏教、神道ともに、日本では多くの方が進行する考えです。 あまり違いがないように思える宗教ですが、習わしやしきたり、考えは大きく異なります。
「お葬式」となると、香典、香典返しがメジャーに感じますが、神道では全く違う文言となっています。 数える日数なども違うので、安易にインターネットでダウンロードした定型文を使用すると大変な無礼になってしまうので注意が必要です。